FXのオプション取引の基本

2014年09月15日 14:56
FXのオプション取引も、為替レートの形成に大きな影響を及ばすことが多い。したがって、レンジ予想をする場合には、どのレート水準に、どのようなFXのオプション取引のポジションがあるのかという情報を把握しておくと、より予想の確度が上がる。
 
FXのオプション取引とは、ある投資対象を、あらかじめ決められた価格で売買するための権利を取引するというものだ。
 
まず、売る権利であるプットオプションを例にとって、FXのオプション取引の基本について解説しておこう。
 
現在のドル/円のレートが1ドル=80円だとしよう。いま普通にドルを売れば、1ドル=80円で売ることができる。では、2カ月後にドルを売る必要があるとしよう。日本の輸出企業のように、製品を輸出した代金が、2カ月後にドル建てで入金されてくる場合などが、これに該当する。
 
当然、2カ月後も1ドル=80円である保証はどこにもない。場合によってはドル安が進み、2カ月後には1ドル=76円になっているかもしれない。いまドルを売れば1ドル=80円なのに、実際に売却するときには1ドル=76円になっていたら、この輸出企業は4円分の為替差損を被ることになる。
 
当然、輸出企業としては、この為替リスクは極力軽減したいと考えるだろう。そこでFXのオプション取引の出番になる。
 
前出のような状況のもとで、2カ月後に1ドル=80円でドルを売ることのできる権利があるとしたらどうだろう。もし、このオプションを買っておけば、2カ月後もいまと同じ為替レートで、入金されてきたドルを売ることができるのだから、この輸出企業にとっては、非常にうまみのある話である。
 
このように、将来のある時点で 「売る権利」 のことをプットオプションという。逆に、「買う権利」はコールオプションだ。
 
プットにしてもコールにしても、FXのオプションを買うときには、「プレミアム」というオプション料を払う必要がある。要は、オプションを買うための代金だ。
 
もし、2カ月後に1ドル=76円になっていたら、1ドル=80円でドルを売ることができるプットオプションは非常に高い価値をもつことになる。つまり、プレミアムは値上がりする。この時点で、「1ドル=80円でドルを売ることができる権利」を行使すれば、実際の為替レートが1ドル=76円でも、このプットオプションの保有者は、1ドル=80円でドルを売ることができるため、為替リスクをヘッジできたことになる。
 
また、このプットオプションそのものを他の投資家に売却することによって、プレミアムの値上がりを利益として確保することもできる。
 
逆に、1ドル=85円になっていたとしたらどうだろうか。
 
この場合、「1ドル=80円で米ドルを売ることができる」という権利を行使しても、何のメリットもない。市場を通じて売却すれば、1ドル=85円になるからだ。そこで、プットオプションを購入する際に支払ったプレミアムは無駄になるが、そのまま権利を放棄する。勘のよい方なら、何となくわかると思うが、FXのオプション取引というのは、掛け捨て保険のようなものなのだ。
 
説明したのは、FXのオプション取引の基本であり、最も仕組みの単純なタイプである。これをプレーン・バニラ、もしくはバニラ・オプションという。
 
FXについて詳しく知りたい人は、「勝てないFXはしたくない」が基礎から教えてくれるので除いてみるといいだろう。